Story
開発秘話
モノって、なぜ散らかるんでしょうね。モノって、なぜ片づかないんでしょうね。
ときめくか、ときめかないかで「捨てる」「残す」を区分けできる私物と違って、お仕事の書類や小物は捨てたくても捨てられず、上手く付き合っていくしかありません。整理整頓が苦手なみなさん、どうされてますか。職場で煙たがられていませんか。
誰でもデスクが片づき、仕事に集中できるワークツール「WORKERS'BOX」を発売するにあたって、ハイモジモジの松岡と松田が「なぜそれをつくったのか」を語り明かしました。
ほんと、この商品をつくるまではわたしたちも「お片づけ問題」が切実だったのです。
ハイモジモジ代表。ライター。「WORKERS'BOX」の販売・広報担当。どちらかと言えば几帳面。白と黒のモノトーンが好き。
グラフィックデザイナー。「WORKERS'BOX」の開発担当。モノを片づけるのは苦手だが、要らないものはすぐ捨てる。
【第1回】なぜモノは片づかないのか
【第2回】だからボックスをつくった
【第3回】自分自身が欲しかったから
【第4回】開いて閉じて、しまうだけ
【第5回】なぜ紙製にこだわったのか
【第6回】そして書類の住所ができた
みなさんこんにちは、ハイモジモジの松岡です。
松田です。
このたび収納に関する新商品をリリースするのですが、それに関連して、弊社デザイナーであり妻でもある松田に訊いてみたいことがあるのです。
そうなの?
以前、事務所で大きなテーブルを共有してたよね。パソコンを2台並べて、向かい合うように座ってた。
うん。
ワールドビジネスサテライト(2015.10.2放送)より
取材のときは慌ててきれいにしてたけど、普段のモノの散らかりっぷりは、まあひどかった。
そう? 記憶にないなあ。
そこそこ広いテーブルだったのに、5分の4はそちらのモノで支配されてたからね。書類やら商品サンプルやらが、あきらかにこちらの領域にまで侵食してきて、僕のスペースはいつもマウスを動かすのがやっとだった。
うそだー。
証拠写真がこちらになります。左が僕、右があなた。
うわー、なにこれ!
ね。
まあ、テーブルの形がいびつだったから、ふたりの境界線があいまいだったんだよきっと。
いやいや、境界線のレベルを超えてるでしょ(笑)。目くじら立てるつもりはなかったけど、さすがに自分の書類を置くスペースもないのはきつかったよ。
まったく記憶に残ってないなあ。
侵略してた側はまあ、そう言うよね。あえて「侵略」と言わせてもらうけど(笑)。
ふふ。
あんなに広いテーブルだったのに「全然自分のスペースないやん!」ってのが、当時はけっこうストレスだった。
そうだったんだ。
今は部屋をふたつに分けたから快適だけどね。そこで本題。なんであんなことになるの? なんであんなに散らかるの?
うーん、一個のことに集中してないからだよね。
というと?
うちらの仕事って、5つも6つも同時にプロジェクトを抱えてるじゃない。それを順次こなしていければいいんだけど、急ぎの案件がパッと横入りしてきたりする。するとそれまでやってた作業は一旦置いて、急ぎの方を優先させるじゃん?
まあ、いろんな仕事が同時並行で進んでるからね。優先順位がその都度変わるのは分かる。
だから、やりかけの仕事はそのままにしちゃうのね。一旦片づけちゃうと、次またその仕事に戻るとき、ゼロからエンジンをかけなくちゃいけない。別に急な仕事じゃなくっても、たとえばご飯の時間になったら仕事を一旦区切るじゃん? そこでやりかけのものを片づけると、ゼロになっちゃうんだよね。
それは気持ちの面で?
わかんない。もう、そういう癖だから。自慢じゃないけど、わたしのMacも同じ状態だからね。Illustlatorでデータ作ってるときも、ソフトを閉じないで、ずっと立ち上げたままだから。
ソフトは開きっぱなし、データはデスクトップに散らかりまくり。フォルダに入ってないファイルも画面いっぱいに並んでるしね。いやー、ほんとにきたないな。
ちょっと待って、わたしの評判を貶めようとしてる(笑)?
いやいや、事実だから(笑)
片づけが得意な人はきちんとフォルダに入れるんだろうけど、わたしみたいに苦手な人はそれをどこに片づけたかがわからなくなるわけ。それはデータも紙の書類も同じで、見る人からしたら「散らかってるなー」って思われるかもしれない。でも、わたしは大丈夫だから。
めっちゃ部屋が散らかってる友達を思い出した。足の踏み場も座るところもないから、その辺のモノをさっとどかすんだけど、本人は「どかすな」って言うわけ。彼なりに何がどこに散らばってるか、把握してるらしいから。
あー、分かる(笑)
僕ならまずフォルダをつくることから始めるね。見積書とか、スキャンした参考書類なんかがまだ何ひとつない状態でも、あるプロジェクトが始まった段階でフォルダをつくる。他社から問い合わせがあった時点から、相手の社名と番号を振って、データの「容器づくり」から始める。
できる人はね。
もちろんデスクトップはパーソナルな仮想空間だし、人の使い方に注文つけるつもりはないよ。ただ、話を蒸し返すけど、物理的に他人と共有しているテーブルを「5分の4」も使えるのはなかなか図太い神経じゃない(笑)?
でもね、きたない方がいいって思ってる人間はいないわけで。私もテーブルの上がきれいだったらどんなにいいかと思ってるよ。
ほんまかいな。
そりゃそうだよ。でも、どんなにきれいに片づけても、こまごましたものは結局どこにしまったか忘れちゃうんだよね。最近もある資料を探すのに、めっちゃ時間がかかった。探して探して、探し疲れて、汗だくになっちゃって。
結局見つかったの?
あったんだっけ、なかったんだっけ。それさえも忘れちゃった(笑)。
(笑)
でもね、そんな自分にある日、嫌気が差した。だから、ちゃんと整理しようとは思ってるし、試してみてもいるんだけど、そもそもわたしにとって最適な収納ツールがないんだよね。
そうなの?
ほら、書類に穴を開けてリングで留めたり、1枚ずつクリアポケットに入れたりするでしょう。ああいう整理の手間がとにかく面倒くさいわけ。仕事を合理的に進めたいのに、「仕事のために仕事する」みたいになるのがイヤなのね。
なるほどねえ。僕は逆に「あれどこに行ったっけ?」って探す時間が、この世で一番イヤだけどな。ハサミはここ、テープはここ、あの書類はこのファイル、ってルールが決まってたら取り出すのに1秒もかからないのに、あの行方不明になったモノたちを探す時間だけは耐えられない。
もし見つからないときはどうなるの?
見つからないとだんだんイライラしてきて、「どこ行ったんじゃー!」って叫ぶ。で、怒りがMAXに達したら、深呼吸して目を閉じて、一休さんみたいに座禅を組んで、最後にそれを使ったシーンを頭のなかでゆっくり思い出すのね、映像で。そうすると大体見つかる。
(笑)
いや、僕だって、そもそも片づけが得意じゃないのよ。整理整頓が上手な人にはまったく及ばない。ただ「モノを探す」という無駄な時間を自分の人生から無くしたいから、仕方なく整理してるってだけで。
自分の部屋で、こんな風にファイルボックスで管理してるじゃん。几帳面だなあと思ってたよ、とてもB型とは思えない。
これをこしらえるのも、けっこう面倒くさかったよ。どのメーカーのファイルボックスを買うかを決めて、それを並べるのにちょうどいい棚を探して、どういうジャンルに分けて整理しようかを決めて、ラベルを自分で出力して貼って。
そういうところ、お義父さんにそっくりだよね。DVDにダビングした映画とかも、作品ごとに画像をラベルプリントして、ちゃんと管理してあったもんね。
ああ、そういうところは血は争えないかも。
お義母さんのキッチンもすごいよね。冷蔵庫とか食器棚を開けたら、モノがぎっしり詰まってるんだけど、どこに何が入ってるのかちゃんと分かるようになってた。すき間はないのにごちゃごちゃした感じが全然なかった。
あれはお祖母ちゃん譲り(笑)。うちの家系は整理整頓が得意なのかも。僕は全然だけど。
わたしには真似できないや。
でもファイルボックスで管理するようにしたら「あれどこ行ったっけ?」の時間がなくなったし、「この書類をどこにしまおう」って迷わなくなった。準備こそ手間はかかったけど、今ではいい時間の投資だったと思ってるよ。
わたしは時間がないから、誰かやってくれないかな。
自分でやらんかい、自分で。
2024.5.27 update
2017.7.13 published
開発秘話