Story
開発秘話
モノは、片づいたはずだった。片づいて、デスクはスッキリするはずだった。
「WORKERS'BOX」発売から2年。
整理整頓が苦手なデザイナーが「自分のために」開発し、Twitterでの拡散をきっかけに多くの共感をいただいてもいた。
それなのに、それなのに、デザイナー本人のデスクが「まだ片づいていない」という事実。一体なぜなのか。なぜモノはまだ片づかないのか。
この大問題に真正面から切りこみ、私たちはひとつの答えにたどり着きました。
ハイモジモジ代表。ライター。「WORKERS'BOX」の販売・広報担当。どちらかと言えば几帳面。白と黒のモノトーンが好き。
グラフィックデザイナー。「WORKERS'BOX」の開発担当。モノを片づけるのは苦手だが、要らないものはすぐ捨てる。
ハイモジモジの松岡です。
松田です。
書類をポイポイ放りこむだけでデスクが片づく「WORKERS’BOX」。発売してはや2年が経ちました。
はい。
片づかない自分のためにデザインなさった、作者さんご本人に聞きます。モノは片づきましたか?
バッチリです。
か、片づいてへんやないかーい!
あはは。
大丈夫? 「書類が片づく」って触れ込みでお商売してるのに、説得力なくなるやん。
向こうの棚をよーく見てみて。
棚?
ほら、お仕事の書類はプロジェクトごとに、ぜーんぶ「WORKERS’BOX」にまとめてあるよ。めっちゃスッキリ。
まあ。
プライベートのも片づいてるよ。書類は。
書類「は」?
そう、書類は。だって「WORKERS’BOX」に入らないものがあるんだもの。
まあ、たしかに。
書類だけならちょうどいい薄さ(内寸2cm)なんだけど、わたしの場合、紙で試作したものとか、開発中の商品サンプルとか、いろいろかさばるものがあるんだよね。
そういう仕事だからね。
わたしの友達のデザイナーも結構「WORKERS’BOX」を使ってくれてるんだけど、やっぱりデスクは片づいてないって(笑)
そうなん(笑)
みんな2cm幅には収まらないモノがいっぱいあるから。
ああ。
というわけで今回、「WORKERS’BOX」の幅広タイプを作りました。
厚い!
本体の厚みが3倍近く(内寸5.6cm)になりました。これなら立体物も入ります。
たとえば?
さっき言った試作やサンプル。書類はプロジェクトごとに整理できたけど、それに関連するモノたちは結局、別のところにしまってたんだよね。
しまってたというか、その辺にほったらかしてたというか。
でもこれだけ厚いと書類もモノも一緒にできて、本当の意味で「全部まとまる」って感じ。
色見本も入れてたよね。
そうそう。プロジェクトごとに見本帳も一緒にしておいたら、打ち合わせに持ち出すときに忘れないんだよね。
サンプルとか色見本はデザイナーならではかもしれないけど、書類以外のモノを扱うお仕事は他にもいっぱいあるよね。
うん、デザイナーに限らない。
ノベルティーグッズを扱う販促のお仕事だったり。
授業で小道具を使う学校の先生だったり。
極端な話、紙の書類を扱いそうにないウェブのエンジニアだって、何かしら収納したり持ち運びたいモノはあるよね。
そう、だからこの幅広タイプは働く人みんなに必要なものなんだよ。
なぜこれをはじめに作らなかった(笑)
いや、まずは書類からかなと思って(笑)
実は「WORKERS’BOX」の発売当初からリクエストが寄せられてたよね。「厚いのが欲しい」って。
そうそう。
「2cm幅では書類が収まらない案件もあるから」って、色んな人に言われた。
販売イベントに出たときも、お客さんに直接言われたよね。
だから今回発売する幅広タイプは「書類+モノ用」であり、「たくさんの書類用」でもある。
いやあ、やっとリクエストに応えられるね。
みなさん、お待たせしました。
販売イベントと言えば、こんなお客さんがいた。
どんな?
福岡に行ったときのことなんだけど、建築のお仕事されてる女性が来られたのね。「いつも「WORKERS’BOX」を使ってくださってるそうで。
イベントに追加分を買いに来られたわけだ。
それで「建築の図面ってA3サイズじゃないですか? ぜんぶ収納できてますか?」って訊いたの。
うん。
そしたら「入らないからフタが閉まりません。ゴムで留めてます」っておっしゃったの。
道具として機能してないやん(笑)
そう(笑)。でもね、ここが感動したとこなんだけど「気に入ってるからいいんです」って。
ああ、泣きそう。
ね、嬉しいでしょ。
つまり、その方にとって「WORKERS’BOX」は「時速30kmしか出ないポルシェ」みたいなものか。
ポルシェは言いすぎ(笑)
高速は走れないけどボディーが好きで乗ってます、みたいな。
まあ、そうかな。そんな感じ。
いま分かった。「WORKERS’BOX」って、文具じゃないのかも。
どういう意味?
もちろん書類やモノを入れる道具には違いないけど、機能よりも優先される魅力を感じてもらえているわけだ。見た目とか質感とか含め、特別な気持ちを抱いてもらってる。
デザインした本人の口からは言えないけど、もしほんとにそうなら、嬉しいことだね。
みんな勘違いしてるけど、スタバはコーヒーショップじゃないよね。
そうなの?
実はコーヒーを売ってるんじゃなくて、コーヒーが飲める「空間」を売ってる。
ああ。
コンビニで100円のコーヒーが飲めちゃう時代に、スタバのラテは1杯400円。飲み物として比べたら割高感はある。
うん。
でもスタバを「1時間休憩できるコーヒー付きの快適空間」って考えたら、400円ってめちゃくちゃ安くない?
ほんとだね。
スタバのロゴは2011年に「COFFEE」の文字を外した。これって「コーヒーを売るお店じゃないよ」という意思表明だと思う。
その流れで言うと、「WORKERS’BOX」も文具を売ってるわけじゃない、と。
少なくとも自分たちはただのファイルとはとらえてない。「それを使うことで豊かになる生活」を提案してる、って感じかな。
なんだか話が大きくなったね。
ワイドになったか。
上手いこと言わなくていいから(笑)
というわけで幅広タイプ、名づけて「WORKERS’BOX WIDE」。
A4サイズの書類もたっぷり入るし、かさばるものも一緒にまとめられます。
案件ごとにね。
A3サイズの書類も、折り目をつけずにふんわり収納できます。
もちろんフタも閉まります(笑)
2cm幅の従来タイプから変更したのは、厚さだけ?
あと背表紙のデザインを横に広げたくらいかな。
そうそう、本体の紙が厚くなりました。
おお。
中に入れられるモノが増えるので、より頑丈になりました。
それは地味に嬉しいね。
「WORKERS’BOX」はそのままミーティングにも持ち出せるから、耐久性も備わってます。
最近はリモートワーカーも増えたし、会社でもフリーアドレスの人が増えたから、自分の荷物を移動させる機会が多いし。書類も案件ごとに持ち運べるのがいいね。
うん。
逆に、従来タイプから変えなかったところは?
内側の紙を挟める簡易バインダーとか、名刺やレシートを挟んでおけるポケットとか、機能はそのままだよ。やっぱり、あると便利だからね。
グレーの外観。内側のブラック。見た目も同じだね。
ほんと、変わったのは厚さだけ。
というわけで、幅広タイプの「WORKERS’BOX WIDE」が完成しました。
デザイナーに限らず、いろんなお仕事されてる方。もちろん学生さんも。みんなに使っていただきたいです。
売り上げもワイドになりますように。
そういうのはいいから(笑)
2024.5.27 update
2019.12.15 published
開発秘話