【徹底討論】

なぜモノは

片づかないのか

WORKERS'BOX 開発秘話



【第1回】なぜモノは片づかないのか
【第2回】だからボックスをつくった
【第3回】自分自身が欲しかったから
【第4回】開いて閉じて、しまうだけ
【第5回】なぜ紙製にこだわったのか
【第6回】そして書類の住所ができた





欲しいツールがなかった



ハイモジモジ松岡松岡です。


ハイモジモジ松田松田です。


ハイモジモジ松岡前回、書類をプロジェクトごとにまとめるという「世紀の大発明」をされた松田さんですね。


ハイモジモジ松田やめて(笑)






ハイモジモジ松岡自分にとって「これだ!」と思えるツールがなかった、って言ってたけど、市販のファイルで試してみたものはあるの?


ハイモジモジ松田初めは普通に、よくあるポケット式のリングファイルで試してみた。でもそんなに量が入らないし、ファイル自体に重みがあるから全体が重たくなってくるし、ポケットに一枚一枚入れていくのが面倒だった。


ハイモジモジ松岡パラパラめくれて気持ちいいし、閲覧性は高いけどね。


ハイモジモジ松田プロジェクトが終わったあとならいいけど、進行中だと書類が増えたり減ったり、順番を入れ替えたりするじゃん。そのたびにポケットから出し入れするのは、わたしには向いてなかった。


ハイモジモジ松岡なるほど。


ハイモジモジ松田そもそもパンチ式が論外ね。いちいち紙に穴を開けるのが面倒くさいし、パチンって留めるところで指をはさみそうになる。ていうか、はさんだことある。


ハイモジモジ松岡あー、地味に痛いやつ。


ハイモジモジ松田それ以来、パンチレスもダメ。シルバーの留め具を見るたびに「ヒイイッ」てなる。


ハイモジモジ松岡いろいろあるのね(笑)


ハイモジモジ松田一番カンタンだったのは、シンプルなクリアファイル。これに関連資料をどんどん差し込んでいった。







ハイモジモジ松岡これで十分っぽいけど。僕もこういうやり方してるよ。


ハイモジモジ松田ただね、クリアファイルって差し込み口が開いてるから、書類がバーッと落ちちゃうんだよね。


ハイモジモジ松岡ああ。たしかに角度を油断すると、中身をぶちまけちゃうことあるね。


ハイモジモジ松田しかも背表紙がないじゃん。立てて並べたときに、どのファイルにどの書類が入ってるか分からないのね。


ハイモジモジ松岡言われてみればたしかに。背面がないとラベルも貼れないしね。


ハイモジモジ松田たとえオモテ面に貼ったとしてもさ、指で一旦取り出さないと何のファイルか分からないでしょ?







ハイモジモジ松岡そうね。僕は立てずに平置きで重ねちゃうけど、そうすると下の方のファイルの存在を忘れがちになる。管理の面ではもう一声ほしいね。


ハイモジモジ松田でしょう。とにかく「これ!」ってモノがないんだよ。あれば買って使うんだけど。


ハイモジモジ松岡あれは? よく百均とかでも売ってるプラケース。あれなら立てて並べられるし、背面にラベルを貼れなくもない。うちも以前はこのケースに家電の取説とかまとめてた。







ハイモジモジ松田うーん。


ハイモジモジ松岡だ、だめですか先生。


ハイモジモジ松田 まず、厚みがあるでしょ。わたしの仕事の場合、ここまで分厚くなくていいんだよね。


ハイモジモジ松岡大は小を兼ねる、わけにはいきませんか。


ハイモジモジ松田同時進行してるプロジェクトは常に複数あるからね。イスに座ったまま書類をすっと手に取りたいから、どうしても机に並べたい。なのにこんなに分厚いのを5つも6つも並べたら、机があっという間に狭くなるじゃん。


ハイモジモジ松岡圧迫感もあるしね。それなら、もう少し薄いのにすれば? 探せば売ってそうだけど。


ハイモジモジ松田うーん。そもそも「これを何冊も机に並べたいか?」っていう。


ハイモジモジ松岡あ、見た目的に? 美観を損ねる的な?


ハイモジモジ松田プラスチックだし、なんか、もたっとするじゃん。デザインの仕事をするテンションには正直ならないかなあ。




自分が欲しいものをつくる



ハイモジモジ松岡なるほど、「欲しいものがない」というのはよく分かりました。


ハイモジモジ松田だから自分でつくるしかなかったの。それを商品にするとか考える前に、そういうツールがわたしに必要だったんだよね。


ハイモジモジ松岡その気持ち、よく伝わってたよ。だから今回、僕はあまり口出ししないようにしてた。純粋に「自分が欲しいもの」をつくってもらいたかったから。







ハイモジモジ松田うん。


ハイモジモジ松岡会社としても8年目で、ヘンに知恵もついちゃって。「こうすれば売れる」「こうすればお店で目立つ」みたいなことから考えるクセがついちゃってたからね、最近は。


ハイモジモジ松田もちろんそれも大事なんだけど、本来は順序が逆かもね。


ハイモジモジ松岡うちの姿勢はマーケットイン(顧客のニーズに沿う)じゃなく、プロダクトアウト(自分たちの思いを形にする)だからね。みんなの意見を聞きすぎず、あくまで自分たちがつくりたいものをつくる。


ハイモジモジ松田つくったものが「きっとみんなも欲しいはず」って信じてる。




すべての働く人のために



ハイモジモジ松岡というわけで、そろそろ今回の新製品を解説してもらっていいですか。


ハイモジモジ松田もちろん。ただ、最終サンプルがまだ届いてないのよ。手元にあるのはまだ試作。


ハイモジモジ松岡ズコー!


ハイモジモジ松田もう、完全にわたしが悪いんだけど。外注先の担当者さんに「この仕様で確定します」って伝えてから、さらに3回も改良をお願いしてるから。


ハイモジモジ松岡さすがに怒られるで。


ハイモジモジ松田いや、もう、ほんとゴメンナサイ(笑)


ハイモジモジ松岡今回めっちゃ試作してもらったよね。試作の回数で言ったら、ハイモジモジ史上最多じゃない?


ハイモジモジ松田かもしれない。見て、この試作の山。上にいくほど最新版。







ハイモジモジ松岡圧巻やね。それだけ、こだわり抜いたってことでもある。


ハイモジモジ松田だって、わたし自身が使いたいものだからさ。頭の中で「欲しいもの」ができあがってるから、ぜったい妥協したくなかったの。


ハイモジモジ松岡工場にも見学させてもらいに行ったしね。


ハイモジモジ松田よく歓迎してもらえたよね。何回も何回も何回も試作をお願いしちゃって、出入り禁止になってもおかしくなかったかも。


ハイモジモジ松岡その情念を、別角度からご覧ください。







ハイモジモジ松田ほんとはさらに5冊くらいあるんだけど、ま、いっか。


ハイモジモジ松岡十分伝わりました(笑)


ハイモジモジ松田まあでも、あとは微調整のレベルだから、この段階でもどういう製品なのか説明できるよ。


ハイモジモジ松岡じゃあ、次の回からお願いします。その前に商品名とロゴだけでも正式に発表しておこうか。ここまで読んでくださった方のためにも。


ハイモジモジ松田そうだね。商品名は「WORKERS' BOX」です。ワーカーズ・ボックスと読みます。



WORKERS' BOXのロゴ

ハイモジモジ松岡当初のコードネームは「PROJECT BOX(プロジェクト・ボックス)」だったけど、松田のようなデザイナーだけじゃなく、すべての働く人にとってのスタンダードになればと思い、このようにネーミングしました。




第4回「開いて閉じて、しまうだけ」




STORY

開発秘話

A4

なぜモノは片づかないのか

すべてはここから始まりました。発売当初にSNSを通じてたくさん読まれ、共感を呼んだ開発エピソード。

WIDE

まだモノは片づかないのか

幅広タイプもほしい事情がありました。およそ2年後に発売された「WIDE」の開発エピソード。

STAND

専用スタンドを作ってみたら

ブックエンドにもなる「STAND」の開発エピソード。開発担当のデザイナーがその経緯を語り明かしました。

MINI

なぜ名刺は片づかないのか

名刺は意外と片づかない。そんな問題意識から始まった名刺サイズ「MINI」の開発エピソード。

LINE UP