Story
開発秘話
こんにちは、ハイモジモジのデザイナーの松田です。
今回は私が「WORKERS’BOX」専用のスタンドを「なぜ作ったのか」というきっかけと、実際に使ってみた感想をお話したいと思います。
書類をポイポイ放り込むだけで書類が片づくファイルボックス「WORKERS’BOX」を使い始めてからというもの、今まで散らかっていることがあたりまえだった自分のデスクが見違えるようにスッキリして、本当に気持ちのいい毎日が続いていました。
「私、なんて最高のツールを作ったんだろう」
「これからはデザイナーじゃなくて収納アドバイザーとしてやっていけるんじゃない?」
▲驚くほどスッキリした松田のデスク
でも「WORKERS’BOX」の冊数が増えるにつれて、ある不満がつのってきました。
「立てるためのちょうどいいブックエンドがない!」
そう、冊数が多くなればなるほど、崩れさせずにきちんと立てたいと思うようになったのです。
「WORKERS’BOX」は底が平らな箱なので、中に重量があれば自立はします。ただ厚さが2cmと薄いため、バランスが崩れれば倒れてしまいます。
実際私は、パソコンのモニターに立てかけて使っていましたが、せいぜい1~2冊が限界ですし、それ以上増えると、倒壊の危機が...。
▲モニターをブックエンド代わりにするのも限界が
デスクにかぎらず書棚に立てておくときも、やはりブックエンドがあった方が便利です。
すき間なく立てているときは倒壊は起きませんが、スカスカの状態で立たせている時には一番端の「WORKERS’BOX」がどうしても傾いて倒れてしまいます。
▲もはやドミノ状態になったWORKERS'BOX
というわけで、まずは市販のブックエンドを試してみました。
ところが「WORKERS'BOX」の中に書類をたくさん入れているとその重さに負けて、ブックエンドごと倒れてしまいました。
▲このあとブックエンドごと全部倒れました・・・
差し込める幅が決まっているタイプのブックエンドだったら倒れなかったのですが、でもちょっとしたすき間ができたりして、横幅がしっくりきません。
▲すき間がぴったりじゃないからスカスカ
そこで決めました。
「WORKERS’BOXの厚みにぴったり合わせた専用のブックエンドを作ろう!」
こうして「WORKERS’BOX STAND」の開発がスタートしました。
さて、専用のブックエンドといいますか、俗に「マガジンファイル」や「ボックスファイル」と呼ばれる箱を作ることに決めまして、まずは
「WORKERS’BOX」を何冊収納できるようにしようか
と考えました。
こういうのって、正解はないんですよね。
3冊くらいでいいという人もいれば、多ければ多い方がいいという人もいます。使う人や利用環境、そのときの状況によって異なりますから、全員が望むものは作れません。
ですから、作り手である前に使い手である私自身が「何冊収納したいか」を考えて、実際に使ってみて、それでしっくりきたなら「良し」とすることにしました。
私は書棚よりもデスクに立てたいと思っていましたので、いつも並行しているプロジェクトのうち、書類をさっと取り出せるものが5つくらいあれば十分です。
3冊や4冊では少し物足りなくて、やっぱり5冊分は欲しい。これが私にとっての「正解」でした。
「WORKERS’BOX」は背表紙と底の2か所にインデックスを設けていまして、書棚の高さに合わせてタテにもヨコにも置けるようにデザインしています。
▲棚の高さに合わせてタテ置き、ヨコ置きどちらでも
一般的なマガジンファイルはタテ置きができるもの、ヨコ置きができるもの、どちらか一方だけの場合がほとんどですが、「WORKERS’BOX STAND」はインデックスを2か所に設けて、タテにもヨコにも置けるようにしました。
ただ、そのためには少し悩ましい問題がありました。
というのも、一般的な組み立て式スタンドにした場合、ふつうだったら背面と底面のどちらかは「底」になってしまいます。
▲組み立て式の構造上、平らにならない「底」ができてしまう
▲大量に試行錯誤を重ねたあと
もちろん背面も底面も平らにすることはできるんです。でもそうすると、組み立て前の展開図がとっても大きくなってしまうんですね。
その分、出荷時のコストも増えてしまいますし、お店で購入していただく場合も、めちゃめちゃ大きな荷物を抱えて帰らなくてはいけなくなってしまいます。
▲どうしても展開時の面積が大きくなってしまう
なのでタテ置きかヨコ置きか、どちらか一方にしぼったシンプルなかたちにすることも検討しました。
けれど数日頭を悩ませた結果、やはり縦横インデックスをなくすことはありえないだろうと思い直しました。
「WORKERS’BOX」自体がタテにもヨコにも置けるなら、スタンドもそうあるべきだと思いましたし、私自身その方がいいと思ったからです。
いま使っている棚の高さだって、いつ変わるか分かりませんからね。タテにもヨコにも置ける方がぜったい便利です。
あと、もうひとつ狙いがあります。
それはデスクの向こう側に座る人への配慮です。というのも、自分にとっての裏側は相手にとっての正面になるからです。
正面のデザインは良くても、裏側がおろそかになっていたら、相手はずっとそれを見せ続けられてしまいます。それだけは「なんとかしたいな」と思いました。
そういえばMacの裏側にリンゴのロゴマークがあるじゃないですか。けっして自分には見えない位置ですが、向こう側の相手にまで行き届いた配慮。こういうところ、とてもいいですよね。
だから私も取り入れてみました。
▲裏側にも手を抜かないデザイン
こうして「5冊が入る」「タテにもヨコに置ける」と仕様を決めて試作を重ね、実際にスタンドを使ってみたのですが、思わぬ使い方が見つかりました。
もともとはデスクや書棚に「立てること」が目的でしたが、
「カテゴリー分けができる」
ということに気づいたんですね。
たとえばハイモジモジにはふだんから商品に企業ロゴを入れるノベルティーの制作依頼がよく舞い込むのですが、商品の種類ごとに1冊ずつ使っていた「WORKERS’BOX」を5冊まとめてスタンドに入れ、「ノベルティー」というカテゴリーを作ることができました。
▲それぞれで使っていた5冊を・・・
▲ひとつのカテゴリーにまとめられました
つまりスタンドに「大見出し」をつけることで、書棚の中で「どこに何があるか」がより分かりやすくなったんです。
これまではフォルダと連動させたBOXの連番で並べていたのですが、仕事が舞い込むごとに増えていくので、書類のジャンルがとびとびでどこかスッキリしませんでした。
何よりスタンドのインデックスを手前に向けて並べると、見た目もスッキリしました。これは個人的にもうれしい誤算でした。
というわけで、すでに「WORKERS’BOX」をお使いの方、ぜひスタンドを使ってみてくださいね。
もちろん市販のファイルや雑誌も立てられますので、単体でも便利に使えますよ。
2024.5.27 update
2018.05.22 published
開発秘話